明日の雲ゆき

最近は大河ドラマの感想ばかりです。

麒麟がくる【感想】最終回

なんか途中でテンションガタ落ちになり、感想書くのを止めてしまったのですが、最後くらいは自分のメモとして書いておこうと思います。

このお話、室町幕府の終焉を描く群像劇というより、結局のところ承認欲求の化け物・信長の物語でした。だったら美濃編はプロローグ的にコンパクトにまとめて、本編は越前に逃れてから始まるような構成でもよかったような……。
京都編以降にもっと時間をかけて、史実に残る出来事はもちろん、お市の方や信長の子供、側室を出すなどして信長の歪な為人を描く場面も欲しかった。母の愛を得られず、弟を殺した青年の話なら、彼が自分の家族を持ったときにどんな対応をするのかを観たかった。正室帰蝶の戦線離脱宣言もひどく唐突でした。
また若い頃の信長は良いところも描かれていたけど、大人になってからは嫌なところばかり強調されて、薄っぺらい感じもしました。

十兵衛は真面目で知的な好人物、という路線で描かれていましたが、ふと振り返ると頭でっかちの理想主義者で世間知らずに思えることも多かったです。いや、そういう主人公がそういうキャラ付けだってアリですが、身内も友人も誰も十兵衛にツッコミ入れない(どころか、ひたすら持ち上げる)から、見てる方は褪めるのです。だいたい乳飲み児を抱えているのに、引きこもりを決め込んでいる父ちゃんに、麒麟が呼べるはずないよ。
麒麟については駒ちゃんから聞くのではなく、ふつうに亡くなった父上から聞かされた話でいいんじゃないか? で、越前に来て、ごく限られた範囲であるにしても、現実に麒麟が降臨している国というのを目の当たりにして、何かに目覚める、とか。

 

細かいところで納得いかないあれこれ〜(とりあえず思い出せた分だけ)

  • 最初の方であんなに鉄砲で大騒ぎしたのに、長篠の戦いはほぼスルー。
  • 煕子様はかわいいだけのテンプレ奥様で、明智家のお方様らしいところは無し。
  • 美濃を出る時、十兵衛は安光叔父上から水色桔梗の旗とともに明智家の未来を託されたのに、本能寺に向けて出陣する際、何も思わなかったのか? 明智の名を貶めることになるかも、ってのはわかってるでしょ。
  • 藤孝が十兵衛を裏切って秀吉に付くのが、取って付けた感あり。藤英兄上に関しては最期まで納得の展開だったのに、兄弟でこの違いはあんまりだ。
  • 最後になって家康と十兵衛が「良い国づくり」の話をしだすもの、ちょっと唐突。
  • 十兵衛が実は生き残っているらしいという結末はいいのだが、爽やかに馬で駆け抜けるラストに違和感を抱いた。信長をモンスターに育ててしまったこと、そして殺さざるを得なかったことに何の後ろめたさもないのか?
  • っていうか本能寺の変は、十兵衛が各所で「自分が信長を何とかする、説得する」と言い続けたものの、一コも成功しなかったので、その落とし前を付けたようにも思えた。
  • 全体的にオリキャラが都合よく使われすぎていて、面倒なところはオリキャラで話を繋ぐ、それが無理筋であっても。
  • 信長や十兵衛の家臣たちに個性が見えなかった。最初の方の伝吾だけは別だけども。柴田勝家のキャスティングは意外性と話題性だけで、内容に関しては意味なかった気がする。そういえば、信長と斎藤道三の初対面の場面で、前田利家がちょっと目立つ登場をしたような記憶があるけど、あれも意味なかったのかな。

 

演者の方々が素晴らしいおかげで、ある場面や一つの回だけを切り取ると名作の雰囲気を醸しているので、全編通して話の組み立てがきちんとしていればな、と思ったのでした。美濃編については、斎藤家のドロドロは見応えあったので、明智光秀の物語とは切り離し、もっと回数増やして、まったく別のドラマとして仕立てられていたら良かったかも。