明日の雲ゆき

最近は大河ドラマの感想ばかりです。

おんな城主直虎/第12回 感想

れいさっぱり誰もいなくなってしまいました。残ったのは女子と坊主だけでした。
虎松の後見ですが、残った人々の中では、もしかして千賀母上が一番適任なのではないだろうか。

  • 直親と従者の亡骸を前に、しのは八つ当たり的に次郎のせいにし次郎は自虐状態。しのが次郎を責めるのは間違っていないけど、方向が違う。但馬を成敗しなかったことではなく、謎の行者を和尚様に照会もせず、偽書状を直親に届けてしまったことが責められるべき点だ。そして他の人も含めて、悲しんだり嘆いたりするだけで、誰もなぜこうなったのか本当のところは考えない。これが同じ失敗を何度も繰り返す井伊の遺伝子なのか。悲しいシーンだけど、なんとなく醒めた目で(特に次郎を)見てしまった。
  • 「夫の体に触るな」というしのの気持ちはわかる。あの場で一番悲しんでいいのは決して次郎ではない。今回ばかりは、次郎よりしのの味方です。
  • 帰還した政次を前にした、千賀母上の威厳。直虎を名乗った場面の次郎の目力の強さ。小野だけでなく、こちらも親子だなあと思った。
  • ご隠居様、中野さん、新野さんナレ死。あまりにもあっさりしていて、侘しさがいや増す。みんな馬に乗りまっすぐ前を見据えて進む姿がかっこよかった。
  • 昊天さんも昊天さんの槍もかわいそう。みごとにポッキリ折れた。ああいうのって直るのかな。学問の合間に大事な槍の手入れをする昊天さんを妄想すると萌える。
  • と、いろいろあったが、今川館で氏真の近くに控えて笑う政次に全部持っていかれてしまった。
    前回は暗闇の中、己の不甲斐なさに顔歪め涙を流していたのに、本当に井伊を守るために腹をくくったんだな。どれだけの葛藤の末に父と同じ道を行くと決断したのか。そしてたった一人で策を巡らし今川家中を動かした。表情は殺しているけど、心は殺していない。フォアググラウンドは今川の家来だが、バックグラウンドで鶴の心は生きている。井戸の前で「直親が下手を打ったのだ」と乾いた口調で次郎に言ったところでそう感じた。
    下手を打ったという言葉は直親だけでなく政次にもかかっている。偽書状を受け取って元康と面会しようとする直親を止め切れなかった。直親から相談を受けたとき、熱意に押されるように同意してしまった甘さを繰り返すまいとして、次郎にきつい物言いをしてる気がする。
    和尚様くらいは政次の真意に気づいてくれないものだろうか。

もう政次を不憫だとか思うのはやめたい。武士が自分で決めて歩む道に対して哀れむような言葉は不遜だ。この先、一切味方のいない中どうやって本懐を遂げるのか、ただ見守るのみです。