明日の雲ゆき

最近は大河ドラマの感想ばかりです。

精霊の守り人 最終章

最終回が終わってしまいました。はっきり言って、精霊ロスです。

バルサやチャグムだけでなく、それぞれの登場人物に見せ場があって、きれいに物語が終わったなかで、一番重かったのは帝でした。原作では古い価値観から逃れることができなかった哀れな父という印象だったのですが、ドラマ版では、セリフのやり取りや表情から帝の人生の空虚なる重みがどっと押し寄せてきて、泣けてしかたなかったです。

最後の最後でやっと自分の人生を自分のものにできた。二ノ妃と真っ当な夫婦になり、自分は洪水に飲み込まれる王宮に残るという選択をすることで。そこに狩人のモンだけが無言・無表情で付き従うってのが、もうたまらん。ラウル王子とヒュウゴに負けず劣らす、こちらも萌える主従じゃないですか。

「山の上からこの国が勝つところを見よ」(正確な言い回しではないです)とシュガに言ったのが帝としての遺言ということになるのでしょうか。こんなことを言う人なら、愚かで無力な小心者の権力者のはずがない、ただ生まれによって背負わされた役割を全うしようと足掻いた人だったんだな。歴史や王宮システムの重圧や家臣からの期待を、私心を殺して幼い頃から一身に引き受けてきた。本当に神の子ならいいけど、生身の人間がやるべきことじゃないから、心が壊れてしまってもしかたない。二度も殺そうとした息子が魂をとばしてやってきて、ナユグと人の世の狭間で和解。長くはなかった人生の終わり間際で人になり、さらに本物の神になってしまいました。

原作通りではないけど、押さえるところはきっちり押さえて、連続ドラマとして映える展開に組み替えは見事でした。特撮も迫力ありました。ヤズノ砦は大きなスクリーンで見たいくらい。まさしくNHKの本気を見せてもらいました。

番外編の「十五の我には」はバルサの少女時代を演じた清原果耶さんが少女のうちに、映像化してくれないかなぁ。「夢の守り人」は少し改変すれば、新ヨゴの人々の後日談も兼ねられないだろうか。「虚空の旅人」も帝になったチャグムの外交デビューの話に改変できないかな。もちろん「炎路を行く者」も見たいです。NHKなら、良い感じに鈴木亮平さんに似た雰囲気の少年の俳優をきっと見つけてくるはず!