明日の雲ゆき

最近は大河ドラマの感想ばかりです。

おんな城主直虎/第28回 感想

デスノートがまさしくデスノートでした。

  • 今回の始まりは、未来への夢と希望が詰まった、新築祝いの場面。ムダに史実をググったりしなければ、陽気な気賀の町衆や中村屋、銭の犬の道を正しく邁進しようとする方久や、穏やかな表情の龍雲丸の様子を堪能できたのにな。
  • 寿桂尼と信玄の交渉シーンは物の怪対決、正統派の大河ドラマのようだった。この信玄に、沸点の低い氏真ぼっちゃんでは相手になるはずもなく。
    しかし、義元が亡くなってから、孫に太守教育を寿桂尼が施すことはなかったのだろうか。あんまりダメだと、自分で動いたほうが早いとか、つい考えたくもなるか。あれほど冷徹な寿桂尼が、孫にはなんとなく甘いところが妙にリアル。
  • 去年の春さんは微妙にポンコツ正室だったけど、今年の春さんはできる女子でした。真摯な言葉を尽くして見事に氏真を立ち直らせた。そして瀕死のばば様のために屋敷中の楽器を集めた宴。
    現実の楽の音と寿桂尼の夢が渾然一体となった映像に亡き義元が。龍王丸と顔を見合わせて笑ってる。無表情な白塗りは外向きの顔だったのね。これなら氏真だって、今川の家を潰したくはないはずだ。
  • と、今川家に色々あってから、直虎に駿府へのお呼びがかかる。今回ばかりは直虎の成長が恨めしい。直親の一件を問われて、もっとアホな回答をしていたら、デスノートの直虎の名に朱墨のバッテンは付かなかったかな。けど彼女がアホな子のままだったら井伊谷は早々に乗っ取られていたかも、なのでどちらにせよ物騒なことになったのかも。
    主家への忠義といえば聞こえはいいが、結局は面倒くさいことにならないイエスマンだけを残すって事は、ジリ貧になるばかりじゃないか。粛清を繰り返す主にまともな人がついてくるはずもなく、見終わって色々考えてたら、寿桂尼の陰に滑稽さと哀しみを思ってしまった。

直虎が綿布の贈り物をし、寿桂尼が「そなたが娘であったら」と言ったあたりは、普通にいい話で終わるかと思いきや、デスノート登場で最高に凄惨な終わりかたでした。義元と同じ仕草で処刑を命じる氏真。あの部屋の床板はどれだけの血を吸い込んでいるのでしょう。