明日の雲ゆき

最近は大河ドラマの感想ばかりです。

おんな城主直虎/第25回 感想

恋愛、忠義、家族愛、友情といった単純な言葉では言い尽くせない、いろんな思いが織り合わさった回でした。井伊の家中、劇中時間ではしばらくぶりの龍雲党まで、みんな同じ方向を見ている。

  • お寺で子供たちを相手にしている政次は見ていてホッとする。子供の世代はもう小野の家に関して、引っかかりなどないのかも。そして、ちっこいくせに井伊の赤鬼の片鱗を見せる虎松。
  • なつ、内緒話をするためとはいえ思い切った行動に。心情としては家族愛と恋愛、五分五分くらいなのかな。政次も察しているはず。しかし、これってある意味、政次スケコマシと言えるんじゃないかと。直親みたく、分かりやすくあからさまでないだけで。
  • 俺の手は冷たかろう……は不憫の象徴じゃなく、ほのぼのとドキドキと切なさが合わさったシーンでよかった。
  • ここで主人公がどうにかなるはずがないと分かってるから落ち着いて楽しんでますが、謀反・駿府・申し開きはこれまでの井伊家にとって破滅への3点セット。
    最初の直親パパからのあれこれに始まって、過去の数々の失敗を乗り越え、井伊家と直虎は最悪の事態をひっくり返せるところまでたどり着いたと思うと感慨深い。
  • 氏真坊ちゃん、蹴鞠勝負のことを未だに根に持ってるらしい。でももうイノシシ少女のおとわはいないのだよ。若手の当主としては直虎の方が一段上でしょうか。

次回も中村与太夫の登場があるようで嬉しい。気賀の他の商人たちも、中の人も含めてひと癖ありそうな人々で、とても楽しみです。

おんな城主直虎/第24回 感想

サブタイトルにあった「さよなら」は龍雲丸やたけが井伊を去るということだけでなく、猪突猛進少女おとわとの惜別を指していたのですね。

  • 信長の前で小物感たっぷりの豆狸・家康、いいなぁ。この人がああなってこうなって、ついに太平の世を作るのだと思うと胸熱です。歴史上の人物として徳川はあまり好きではなかったのだが、これ見てたらちょっと宗旨替えしてしまいそう。信長は立居振る舞いといいよく通る声といい、他の登場人物とは完璧に別世界の人って感じ、第六天魔王な信長でした。
  • あんな別れだったのに、井伊を忘れていなかった瀬名様(様を付けずにはいられないたたずまい)。未だに岡崎城に入れず、深夜に殿が訪れてもすぐに帰ってしまう、という状況にあって凛として美しく、竹千代共々この先の運命を思うと泣けてきた。家康にハッパをかけるところは、勢いで押してた昔と違って、静かな力があった。この人も徳川家のため、あえて悪女の汚名を着るのだろうか。
  • 直虎もしのも立派に殿とお方様に。スケコマシ直親と自由人な龍雲丸がきっかけだった?
  • 新野家の桜は今川の家臣の家へ輿入れ。佐奈様のことが頭をよぎる直虎だけど、現在の井伊家は昔のように脳筋の仕切る家ではないから、きっと大丈夫だと思う。で、つい旦那様になる庵原助右衛門を検索してしまった。とりあえず、なんだかんだでしぶとく生き残る人らしい。良かった。
  • 新野家の次女、あやめの嫁ぎ先について直虎と政次が話す場面。直虎が政次と対等に策を語ってる。そして、ここしばらく見ることのできなかった、政次の心の底からの笑み。危なっかしい殿を変則技で支えてきて、家老としては報われたのでしょう。
  • たけ最後のシーンはしみじみと締めるのかと思いきや、梅の登場で笑ってしまった。たけの幽霊で大騒ぎの六左は安定のラブリーさ。
    でもたけの心情や直虎のとの会話は夕日の風景と相まって感慨深かった。お手つきの件とか次郎出家のあたりとか、思い出すと、ホントに遠くへきたなぁ、と。

予告の政次となつ、どういうシチュエーションなんでしょうか。単なる色恋沙汰とは感じられないのですが。

おんな城主直虎/第23回 感想

先週のラストから予告を見て、これはもしかして井伊が周囲から付け入る隙を与える緒になってしまうのかも、と暗い気分だったのですが、全然そんな話ではありませんでした。今回もほのぼの回!

  • 近藤さんに問い詰められて、直虎自爆。フォローする六左。之の字がポメラニアンなら、忠犬・六左は秋田犬。
  • 時間経過や周りの風景からして、近藤さん御一行がやってくることを龍雲丸たちに伝えるため、なつは夜明けとともに山に入った、という感じでしょうか。本当にできた妹です。政次となつは確かに家族になってる。この二人の関係、夫婦っぽいよ派と兄妹だよ派がありますが、私は兄妹派です。政次が直虎を思い続けていることを、聡いなつが気付いていないとは思えないし、そういう気持ちがありながら様々なことを己の胸に収めて井伊のために尽くす兄が好きだし、誇らしいんじゃないかな、と思うわけです。
  • 近藤さんは井伊に付け入るどころか、弱味を作ってしまいました。龍雲丸の読みの確かさと、和尚様の弁舌巧みなこと。
  • 龍雲丸は滅びた武家の子でした。たいていの歴史ドラマは勝者の話だが、勝者より敗者の方がずっと数は多くて、普通の人々なんだよね。井伊への奉公を断ったあたりから、御家を失ってどんな人生を歩んできたのだろうかと妄想が止まりません。
  • その刺繍入り橙色の小袖は若作りすぎないか直虎……と思ったら、普段通りの衣装で登場してホッとした。衣装は平常心でも、態度は怪しさと嬉しさ爆発だったけど。家臣は政次含めて揃って着飾って、どんだけ纏まりがいいんだ。
  • 盗賊団のみんなをもっと見ていたいけど、体制に組み込まれてしまう(いくら直虎がフリーダムな領主とはいえ)と、彼らの良さがなくなってしまいそうだったから、奉公しない道を選んで正解だったのだろう。
    政次の表情が緩んだのは「やはりな」という思いと、自分に正直な生き方を選ぶ龍雲丸を心密かに認めたからかな、と。

ついに次回は歴史が動くようですね。ほのぼの回も終わり、もっと直虎と愉快な仲間たちを見ていたかった。でも瀬名様と信長の登場は楽しみです。

おんな城主直虎/第22回 感想

ブコメ全開。もちろんそれ以外の要素もある。が、ラブコメに全部持って行かれてしまいまいました。

  • 龍雲丸にうっかり直親を重ねてしまったのと煩悩が渾然一体となり、大変なことに。実は武家の出らしい→なぜ盗賊団の頭なのか→もしや亀と同じように出奔したのかも……と妄想が広がる。でも、妄想の行き着いたところがしのの「すけこまされたのです!」だったあたり、複雑。
    そんなこんなで「あれは亀の代わりだから」という己の中の大義名分を作った直虎。
  • たけさん、全力でお世話のしがいがある年若い姫、高瀬ちゃんがやってきて楽しそう。確かに直虎はトウが立ってるし、もうあれこれ心配しなくちゃいけないような姫様じゃないもんね。
  • 酒癖悪いよ、殿。酒の力で煩悩が暴走してるよ。しかしストレートに「我のものになれ」は大河のヒロインとしては相当に斬新だった。
  • やっぱり直虎の好みのタイプは、直親といい龍雲丸といい無意識系すけこましなのかもしれない。とすれば、やはり政次に望みはないのかも。直虎の側からすると、最期の時も恋愛感情なんぞはるかに超越した、魂の友として迎えるのではないかと。政次はその時どう思うのか。多少告白めいたことを言うかもしれないけど、その先はどうなるのか。

回想シーンの直親を見ていて、この人、人当たり良くて戦術家だけど戦略はダメだったんだと改めて思いました。とすれば、どちらにせよ城主を続けるのは厳しかった。いや、家老の政次と二人で一組なら大丈夫だったかな。と、1話からのあれこれを思い出すと切なくなりました。

おんな城主直虎/第21回 感想

母からはイノシシと言われ、義理の娘になって間もない女の子からは、もうちょっと考えろとたしなめられ、乳母からは古い方の姫様と言われてしまう直虎ちゃん(アラサー)。やっぱりおとわのままで領主をやってる模様。でも人材もお金も足りていない領主だから、普通に常識の範囲でやってたらダメなんだ。けど、現状で尼さんの風情のかけらもないって、修行に励んだ年月はどこに消えてしまったんだ。見てる方は楽しいからいいですけど。

  • 気賀や中村屋の雰囲気、ちょっと胡散臭いけど自由で開かれていて、世界の広さを感じられてすごく好き。「平清盛」っぽい。路地に面した店先にオウムがいそう。
    中村屋与太夫も飄々として底知れなくて良い。この先も登場機会があってほしい。
  • 高瀬の母のユキさんて、おとわに似てるだけじゃなく、なつさん的要素も併せ持った人だよね。じゃないと、あんなに冷静で賢い子にならないんじゃないかと。
  • 旅の男改め、龍雲丸。いいキャラだけど、他の人物と比べてケレン味が強くてなんとなく浮いて見える。先週までは期待大だったのですが、この先どうなるか。龍雲丸自身が、そういう風に自分を演出してる設定って可能性もあるでしょうか。
    身代金要求の文が達筆で、元々はどこか良い家の出身?
  • 誘拐された直虎を心配していることを現すわけにいかない政次。セリフはほとんどないのに、表情だけで思っていることが手に取るように分かる。でも和尚様はやっぱり全てお見通し。「浮かばれぬ」と和尚様が言った言葉が、せめて政次の耳に届いているといいな。
  • チビおとわのカブ盗み食いのエピソード、ついに回収されました。あれはヒロインとは思えぬ強烈さだったので、こういう形でオチがついてますます記憶に残るエピソードに。人は皆等しく卑しい。けど、だからこそ投げやりなることを良しとせず、前を見て進む。直虎が龍雲丸を説得する流れは、力強くジーンときた。

おんな城主直虎/第20回 感想

先週以上のコメディ回になるとは思いませんでした。
直虎、墨染の衣の時は坊さんらしく思慮深く落ち着いた雰囲気もあったのに(第10回で奥山殿を殺めてしまった政次のため動くときとか)、城主になったらおとわ風味がどーんと強烈になってませんか。

  • 元々今川に関係のあった商人に、あっさり利権を取られてしまった方久。その反応はお笑い風味に描かれていたが、これも終わりの始まりな気がした。
  • 直親の隠し子・高瀬は見た目は百姓娘だけど、妙に頭の回転が良さそう。素直に考えれば、母のユキさんのおかげかなと思うところだが、公式の人物紹介に「その正体は・・・!?」って書いてあって、なんかモヤモヤする。
  • 以前にしのがランクアップするのは直親の隠し子が登場する時じゃないかな、と書いたことがあったが、実際はランクアップというか、直虎と気持ちが通じ合うきっかけになった。御初代様の井戸に向かって直親をなじるしのと直虎がなぜが清々しかった。
  • とはいえ、ただ直親を堕とすだけじゃなくて、しのが「寂しかったのだろう」とさらっと言っていたのが感慨深い。自分の嫉妬心を認めつつ、今は相手の立場も思いやれるんだな。
  • 逃亡中でいつ命がなくなってもおかしくない日々なら刹那的な行動に走っても仕方ないし、あの時代の人として子孫を残したい気持ちもわからないではないさ、直親。ダメだったのはリップサービスが過ぎたことだ。
    その時その場では相手に対してサービスとか嘘をつくとかいう意識はなく、その瞬間の気持ちに(後先考えず)正直なんだろう。けど全力で歯の浮くようなことを言うから……。
  • 井伊に帰還した時、事実を告白したとして、おとわは少々面白くないかもしれないけど、ほかの人々はそれなりに理解してくれそうだけど。亡くなった時のキラキラ王子様キャラよりは、ある意味、親しみやすくなった。
  • 直虎と政次の囲碁のシーン、あれっぽっちじゃなく、何ならたわいない会話を繋いで15分くらい尺を取ってくれてもいいのよ。

常慶を目にした時の高瀬の表情が気になります。何か隠してることがありそう。

おんな城主直虎/第19回 感想

コメディ回で、なんだかみんな可愛かったです。最初から最後までわいわい言い合いしてるのに遠慮がなくなって、どんなに喧嘩腰でも視聴者は笑って見ていられる幸せ。井伊谷の外では不穏な空気が漂っているけど。

  • 今川館で氏真の御前に並んだ方久と政次。どちらも知恵の回る同士だけど、性格の違いが面白かった。意味なし軽口の方久を無理やり押さえつけて、太守様に頭を下げさせる政次(苦労人)。これはこれでいいコンビじゃないか。そして相変わらす氏真くんはノリが軽い。
  • 木を盗んだ賊を待ち伏せる直虎、直之、傑山の図が妙に好きです。菰をかぶった小山が3つ〜。
  • 六左と政次の組み合わせも良い。妹が慕ってる義兄上だしね。詰め寄られると六左の人の良さが際立ちますわ。
  • 「女は血など見飽きておるから〜」など、直虎はいつも自分の女性性を否定しないのね。男であったら、と思ったこともあったけど、それでも男になろうとすることもなく女子のまま領主をやっている自己肯定感が羨ましくもまぶしい。傑山が牢屋の盗人に語ったように、お家のためにすべてを差し出す生き方をしてきたけど、自分の根本はしっかり保っている。父上が小さなおとわに「後を継ぐか?」と言ったり、平和になったら辻が花を着せてやりたいと思う人だったからな。
  • などというめんどくさい感想は置いといて、このシーンで鶴と呼び、政次は一人称俺のタメ口になるところが、当然今回最大の萌えポイントでした。