おんな城主直虎/第22回 感想
ラブコメ全開。もちろんそれ以外の要素もある。が、ラブコメに全部持って行かれてしまいまいました。
- 龍雲丸にうっかり直親を重ねてしまったのと煩悩が渾然一体となり、大変なことに。実は武家の出らしい→なぜ盗賊団の頭なのか→もしや亀と同じように出奔したのかも……と妄想が広がる。でも、妄想の行き着いたところがしのの「すけこまされたのです!」だったあたり、複雑。
そんなこんなで「あれは亀の代わりだから」という己の中の大義名分を作った直虎。 - たけさん、全力でお世話のしがいがある年若い姫、高瀬ちゃんがやってきて楽しそう。確かに直虎はトウが立ってるし、もうあれこれ心配しなくちゃいけないような姫様じゃないもんね。
- 酒癖悪いよ、殿。酒の力で煩悩が暴走してるよ。しかしストレートに「我のものになれ」は大河のヒロインとしては相当に斬新だった。
- やっぱり直虎の好みのタイプは、直親といい龍雲丸といい無意識系すけこましなのかもしれない。とすれば、やはり政次に望みはないのかも。直虎の側からすると、最期の時も恋愛感情なんぞはるかに超越した、魂の友として迎えるのではないかと。政次はその時どう思うのか。多少告白めいたことを言うかもしれないけど、その先はどうなるのか。
回想シーンの直親を見ていて、この人、人当たり良くて戦術家だけど戦略はダメだったんだと改めて思いました。とすれば、どちらにせよ城主を続けるのは厳しかった。いや、家老の政次と二人で一組なら大丈夫だったかな。と、1話からのあれこれを思い出すと切なくなりました。
おんな城主直虎/第21回 感想
母からはイノシシと言われ、義理の娘になって間もない女の子からは、もうちょっと考えろとたしなめられ、乳母からは古い方の姫様と言われてしまう直虎ちゃん(アラサー)。やっぱりおとわのままで領主をやってる模様。でも人材もお金も足りていない領主だから、普通に常識の範囲でやってたらダメなんだ。けど、現状で尼さんの風情のかけらもないって、修行に励んだ年月はどこに消えてしまったんだ。見てる方は楽しいからいいですけど。
- 気賀や中村屋の雰囲気、ちょっと胡散臭いけど自由で開かれていて、世界の広さを感じられてすごく好き。「平清盛」っぽい。路地に面した店先にオウムがいそう。
中村屋与太夫も飄々として底知れなくて良い。この先も登場機会があってほしい。 - 高瀬の母のユキさんて、おとわに似てるだけじゃなく、なつさん的要素も併せ持った人だよね。じゃないと、あんなに冷静で賢い子にならないんじゃないかと。
- 旅の男改め、龍雲丸。いいキャラだけど、他の人物と比べてケレン味が強くてなんとなく浮いて見える。先週までは期待大だったのですが、この先どうなるか。龍雲丸自身が、そういう風に自分を演出してる設定って可能性もあるでしょうか。
身代金要求の文が達筆で、元々はどこか良い家の出身? - 誘拐された直虎を心配していることを現すわけにいかない政次。セリフはほとんどないのに、表情だけで思っていることが手に取るように分かる。でも和尚様はやっぱり全てお見通し。「浮かばれぬ」と和尚様が言った言葉が、せめて政次の耳に届いているといいな。
- チビおとわのカブ盗み食いのエピソード、ついに回収されました。あれはヒロインとは思えぬ強烈さだったので、こういう形でオチがついてますます記憶に残るエピソードに。人は皆等しく卑しい。けど、だからこそ投げやりなることを良しとせず、前を見て進む。直虎が龍雲丸を説得する流れは、力強くジーンときた。
おんな城主直虎/第20回 感想
先週以上のコメディ回になるとは思いませんでした。
直虎、墨染の衣の時は坊さんらしく思慮深く落ち着いた雰囲気もあったのに(第10回で奥山殿を殺めてしまった政次のため動くときとか)、城主になったらおとわ風味がどーんと強烈になってませんか。
- 元々今川に関係のあった商人に、あっさり利権を取られてしまった方久。その反応はお笑い風味に描かれていたが、これも終わりの始まりな気がした。
- 直親の隠し子・高瀬は見た目は百姓娘だけど、妙に頭の回転が良さそう。素直に考えれば、母のユキさんのおかげかなと思うところだが、公式の人物紹介に「その正体は・・・!?」って書いてあって、なんかモヤモヤする。
- 以前にしのがランクアップするのは直親の隠し子が登場する時じゃないかな、と書いたことがあったが、実際はランクアップというか、直虎と気持ちが通じ合うきっかけになった。御初代様の井戸に向かって直親をなじるしのと直虎がなぜが清々しかった。
- とはいえ、ただ直親を堕とすだけじゃなくて、しのが「寂しかったのだろう」とさらっと言っていたのが感慨深い。自分の嫉妬心を認めつつ、今は相手の立場も思いやれるんだな。
- 逃亡中でいつ命がなくなってもおかしくない日々なら刹那的な行動に走っても仕方ないし、あの時代の人として子孫を残したい気持ちもわからないではないさ、直親。ダメだったのはリップサービスが過ぎたことだ。
その時その場では相手に対してサービスとか嘘をつくとかいう意識はなく、その瞬間の気持ちに(後先考えず)正直なんだろう。けど全力で歯の浮くようなことを言うから……。 - 井伊に帰還した時、事実を告白したとして、おとわは少々面白くないかもしれないけど、ほかの人々はそれなりに理解してくれそうだけど。亡くなった時のキラキラ王子様キャラよりは、ある意味、親しみやすくなった。
- 直虎と政次の囲碁のシーン、あれっぽっちじゃなく、何ならたわいない会話を繋いで15分くらい尺を取ってくれてもいいのよ。
常慶を目にした時の高瀬の表情が気になります。何か隠してることがありそう。
おんな城主直虎/第19回 感想
コメディ回で、なんだかみんな可愛かったです。最初から最後までわいわい言い合いしてるのに遠慮がなくなって、どんなに喧嘩腰でも視聴者は笑って見ていられる幸せ。井伊谷の外では不穏な空気が漂っているけど。
- 今川館で氏真の御前に並んだ方久と政次。どちらも知恵の回る同士だけど、性格の違いが面白かった。意味なし軽口の方久を無理やり押さえつけて、太守様に頭を下げさせる政次(苦労人)。これはこれでいいコンビじゃないか。そして相変わらす氏真くんはノリが軽い。
- 木を盗んだ賊を待ち伏せる直虎、直之、傑山の図が妙に好きです。菰をかぶった小山が3つ〜。
- 六左と政次の組み合わせも良い。妹が慕ってる義兄上だしね。詰め寄られると六左の人の良さが際立ちますわ。
- 「女は血など見飽きておるから〜」など、直虎はいつも自分の女性性を否定しないのね。男であったら、と思ったこともあったけど、それでも男になろうとすることもなく女子のまま領主をやっている自己肯定感が羨ましくもまぶしい。傑山が牢屋の盗人に語ったように、お家のためにすべてを差し出す生き方をしてきたけど、自分の根本はしっかり保っている。父上が小さなおとわに「後を継ぐか?」と言ったり、平和になったら辻が花を着せてやりたいと思う人だったからな。
- などというめんどくさい感想は置いといて、このシーンで鶴と呼び、政次は一人称俺のタメ口になるところが、当然今回最大の萌えポイントでした。
おんな城主直虎/第18回 感想
和尚様がお膳立てしたとはいえ、政次の意図について直虎が自分で気がついた形になったのはよかったです。おとわも鶴も生まれた時から知ってる和尚様だからこそ、ですね。
- 未完成の種子島を今川に売りつけて形勢逆転どころか、残りの費用まで出させるとは、さすが銭の犬・方久、やるな。ていうか坊っちゃま氏真、ノリが軽すぎないか。
- なつの政次評「秋の月」美しすぎて、でもあまりにぴったりでしみじみと泣けた。なつは政次に心が動いてるよね。普通なら、政次と再婚しても全然おかしくないのに、そうしたいとは言わないし、近くにいるだけで満足という感じ。プライベートの政次の本心まで全部見抜いているからか。そこまでお見通しとは、さすがに政次も気づいていない気がする。そうすると、井伊谷で最も聡いのはなつなのかも。
- あんなに弱々しかったのに「武田」の一言で持ち直した寿桂尼、さすが本物の女大名。
- 直虎が政次の意図を理解し、政次は全てが見透かされたことを知る。それでも昔のように打ち解けた関係には戻れないし、戻ってはいけない。あくまで二人が対立している形を保つことで、井伊の饅頭は3つになった。
- それでも「嫁に貰ってくれと言っても〜」とか、皮肉めいたことを言わずにおれない政次。繊細な素の心情を、直虎を含む他人からも己の理性からも遠ざけ押し隠すよう。
まだ辛いことも切ないことも色々あるけど、これで直虎とゆかいな仲間たちのメンバーが揃いました。いっそ歴史改変して、この構成のままで関ヶ原まで乗り切れたら……と願わずにいられません。
おんな城主直虎/第17回 感想
もう次回の予告に全部持ってかれてるんですが、しっかり堪能するために今回を振り返ります。
- やはり脳筋の血筋なのか、直虎。種子島、いくらなんでも殿の一存で配備だの作製だの決めていいのかと思ってたら、最も重要な費用は方久持ちだったでござるよ。あとお百姓に持たせるにしても、訓練はどうするつもりだっんだ。
- 直虎の虎松への過激な対応、いくら戦国の世とはいえ、それで上手いこといくのかなと思ってたら、あやめの言葉で納得。あれは頭に血が上った父ちゃんなのだ。いいとか悪いとかの問題ではなかった。
秘策・勝つまでやる、は蹴鞠の時と同じだよね。 - しのは、最後のシーンで、明確に一つステージが上がった。よかった。きっとどこかで直虎と分かり合える時があるはず。
政次については、今回は伏線張りだったので、次回とまとめて書きたいです。
おんな城主直虎/第16回 感想
気がつくといつの間にか勢力図というか、人の心が変わりつつあるのに、わかってないのが殿だけになってしまいそう。
- 中野は以前に写経の件で直由が政次に対して「かわいいところもあるではないか」と言ったぐらいなので、直之も同じように自分の目で見た政次を受け入れるのだろう。
- 六左は考えてみればなつの兄上だった。なつが政次を肯定的に見るなら六左も同様であっても不思議じゃない。
政次が雑巾で六左の顔を拭いて頭に乗せるシーン、真面目な顔して悪ノリしすぎだが、そういうことをやっても大丈夫な関係性になっているともいえるか。 - そしてしの。「あまり噛み付いていると頼りをなくす」という政次の言葉を虎松の手習いの一件で受け入れた。嫌々ながらでも、政次の言うことに従ってみた、というのはすごい進展じゃないか。
- 翻って、直虎が政次を拒否する様子は、ほとんど子供の喧嘩レベルになってきました。
- 「噂を広めてくれたら今日のお代は要らない」という方久。この場面を見てたら、単純な損得で裏切ることはなさそうな気がしてきた。万が一、手切れがあるとしたら、直虎が真っ当な銭の犬でなくなる(お金の力を軽んじる)時だけじゃないかと。
ストーリーとは関係ないですが、私の愛用している100均ハギレのラベルには浜松市の会社が記されています。
綿100%か、綿にポリエステルやポリウレタン少々の混紡で日本製と表記。湯のし前の「きばた」もあるので、多分工場の残反を1m前後に裁断したものじゃないかなと想像してます。意外なところに歴史を感じました。