明日の雲ゆき

最近は大河ドラマの感想ばかりです。

「おちょやん」のこと

朝ドラは結構見てます。作品によって真剣に入れ込んで見るのもあれば、流し見る場合もあります。

で、「おちょやん」ですが、これは割と真剣に見てました。毒親持ちとしては、ここまでのクズ親父が出てくるドラマは、どうしても気になります。朝ドラはこと家族の問題においては、程よくマイルドに描かざるを得ないものですが、今回はかなり冒険してます。金曜日にどうオチをつけるのか、なかなか読めません。普通の朝ドラだと「どんなクズでも親は親だから」と最期を看取って終わるのでしょうが、それは無いだろうとも思っていました。

うーん……ちょっと期待しすぎたのかもしれません。朝ドラらしく普通に綺麗事で終わりましたね。
亡くなったお母ちゃんを間に挟んで間接的に千代はテルヲを許したってことよね。自分だったら、テルヲは憎むエネルギーすら出し惜しみしたくなる親です。許すどころか、まともに怒鳴ったり怒ったりするのも馬鹿馬鹿しいレベル。今週の放送分のテルヲの「千代のため」の言動の数々は、つまるところ良い親の真似事をして、心残りなく死にたいってことでしょう。(ああ、書いてて胸糞悪くなってきたわ。)で、娘に散々たかって甘えて、最終的には許してもらって……。なんなんだよ、おっさんには都合の良い甘くてぬるい展開じゃない?

現実なら、お母ちゃんの写真の隣にクズ親父の写真を並べて飾るなんて、ムリ。死んでくれたらホッとして、仏さんになったクズ親父と自分の過去に別れの涙の一筋も流して、静かに忘れていくような気がします。

朝ドラ的に明るいトーンで1週間を終わらせる必要があるなら、ラストはあの世でお母ちゃんと再会したテルヲが、喜劇タッチでしばき倒されるくらいの目にあってもいいじゃん。お前に娘夫婦のいちゃいちゃに口を挟む資格なぞないわ。

金椛国春秋シリーズ

全10巻の中華ファンタジーです。

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

 

 去年の暮れ、セール価格になっていた電子書籍版を1〜9巻までまとめ買い。年明けから手をつけて、読み終わって数日したところで、最終巻となる10巻目が2月に発売されるのを知って、どうせならと1巻から再読し、勢いつけてそのまま最後まで一気に読み切りました。

1巻目のタイトルが「後宮に星は宿る」ということで、後宮の闇を健気に生き抜く繊細な少年の話だろうか、と思って読み始めたら中華風冒険活劇でした。
実は購入ボタンをぽちっとする際に、1巻目のあらすじは確認したけど、2巻以降はネタバレになるからあえて読まず、ほぼ表紙のイラストで購入を決めたのでした。んでも、この短期間に2周したくらいなので、文句なしにおもしろかったです。

主人公は虚弱体質の少年。ちょっと生意気で小賢しい名家のお坊っちゃまというスタート地点から、10巻かけて一人前の青年になっていく過程が描かれています。といっても武力と体力は人並み以下からほとんど上がらない主人公、知力と気力と縁であらゆる困難を切り抜けていきます。知力は最高レベルなのに往々にして脇があまく、全巻で死にそうな場面あり。ついでに後宮生活で身についた女装をする場面もあり。
でも、冒険活劇のお約束として、最終的には主人公やメインキャラは全員めでたしめでたしになるだろうという感触があったので、変な心配はせずに読み進められました。とはいいながら、どうやって窮地を脱するのか、その過程はいつもドキドキハラハラ。先が気になって、なかなか途中でページを閉じることができませんでした。
やんごとなき方から市井の人々まで、善性100%の人もいなければ、完璧な悪役もいない、絶妙な人物の造形と配置も良かったです。

最終巻の10巻ではとりあえず大団円を迎えますが、まだ解決されていない問題が残っていたり、意図が判らない人物がいたりします。っていうか、国家の一大事は全く解決されてない! 外伝が出る予定があるようなので、楽しみはまだまだ続きそうです。

 

 

ここからちょっとネタバレ


主人公の正室はね、彼の身分と立場的にはお姫様か名家のご令嬢が適当なんでしょうけど、そういう女性にはたぶん無理。非力なくせに、何かと地雷原に突っ込んでいく(行かざるを得ない)夫に付き合っていくのは難しそう。だから主人公たちの個人的な思いはもちろんのこと、公にもあのラストが最上だったんじゃないかな。

麒麟がくる【感想】最終回

なんか途中でテンションガタ落ちになり、感想書くのを止めてしまったのですが、最後くらいは自分のメモとして書いておこうと思います。

このお話、室町幕府の終焉を描く群像劇というより、結局のところ承認欲求の化け物・信長の物語でした。だったら美濃編はプロローグ的にコンパクトにまとめて、本編は越前に逃れてから始まるような構成でもよかったような……。
京都編以降にもっと時間をかけて、史実に残る出来事はもちろん、お市の方や信長の子供、側室を出すなどして信長の歪な為人を描く場面も欲しかった。母の愛を得られず、弟を殺した青年の話なら、彼が自分の家族を持ったときにどんな対応をするのかを観たかった。正室帰蝶の戦線離脱宣言もひどく唐突でした。
また若い頃の信長は良いところも描かれていたけど、大人になってからは嫌なところばかり強調されて、薄っぺらい感じもしました。

十兵衛は真面目で知的な好人物、という路線で描かれていましたが、ふと振り返ると頭でっかちの理想主義者で世間知らずに思えることも多かったです。いや、そういう主人公がそういうキャラ付けだってアリですが、身内も友人も誰も十兵衛にツッコミ入れない(どころか、ひたすら持ち上げる)から、見てる方は褪めるのです。だいたい乳飲み児を抱えているのに、引きこもりを決め込んでいる父ちゃんに、麒麟が呼べるはずないよ。
麒麟については駒ちゃんから聞くのではなく、ふつうに亡くなった父上から聞かされた話でいいんじゃないか? で、越前に来て、ごく限られた範囲であるにしても、現実に麒麟が降臨している国というのを目の当たりにして、何かに目覚める、とか。

 

細かいところで納得いかないあれこれ〜(とりあえず思い出せた分だけ)

  • 最初の方であんなに鉄砲で大騒ぎしたのに、長篠の戦いはほぼスルー。
  • 煕子様はかわいいだけのテンプレ奥様で、明智家のお方様らしいところは無し。
  • 美濃を出る時、十兵衛は安光叔父上から水色桔梗の旗とともに明智家の未来を託されたのに、本能寺に向けて出陣する際、何も思わなかったのか? 明智の名を貶めることになるかも、ってのはわかってるでしょ。
  • 藤孝が十兵衛を裏切って秀吉に付くのが、取って付けた感あり。藤英兄上に関しては最期まで納得の展開だったのに、兄弟でこの違いはあんまりだ。
  • 最後になって家康と十兵衛が「良い国づくり」の話をしだすもの、ちょっと唐突。
  • 十兵衛が実は生き残っているらしいという結末はいいのだが、爽やかに馬で駆け抜けるラストに違和感を抱いた。信長をモンスターに育ててしまったこと、そして殺さざるを得なかったことに何の後ろめたさもないのか?
  • っていうか本能寺の変は、十兵衛が各所で「自分が信長を何とかする、説得する」と言い続けたものの、一コも成功しなかったので、その落とし前を付けたようにも思えた。
  • 全体的にオリキャラが都合よく使われすぎていて、面倒なところはオリキャラで話を繋ぐ、それが無理筋であっても。
  • 信長や十兵衛の家臣たちに個性が見えなかった。最初の方の伝吾だけは別だけども。柴田勝家のキャスティングは意外性と話題性だけで、内容に関しては意味なかった気がする。そういえば、信長と斎藤道三の初対面の場面で、前田利家がちょっと目立つ登場をしたような記憶があるけど、あれも意味なかったのかな。

 

演者の方々が素晴らしいおかげで、ある場面や一つの回だけを切り取ると名作の雰囲気を醸しているので、全編通して話の組み立てがきちんとしていればな、と思ったのでした。美濃編については、斎藤家のドロドロは見応えあったので、明智光秀の物語とは切り離し、もっと回数増やして、まったく別のドラマとして仕立てられていたら良かったかも。

 

 

麒麟がくる【感想】第23回 義輝、夏の終わりに

十兵衛のおつかい人生は、まだまだ続きます。

  • 今回で公方様退場かと覚悟していたら、それは次回だったのですね。
  • しかし勇んで行った尾張では信長にてきとーにあしらわれ、藤吉郎には差を見せつけられ……さんざんの十兵衛。引きこもってたら、そりゃそうなるか。
  • 有名人センサーが付いているかのような駒ちゃん。覚慶様は爽やか&頭の切れに加えて、かすかな強引さもアクセントにして、乙女ゲーの攻略対象になりそうな好青年ぶり。そして護衛にはどうしたことか藤孝がいました。
  • 十兵衛は藤孝に頼まれて公方様に会いに行ったわけですが、藤孝は十兵衛の元を訪れた時には、もう公方様を見限って、その弟を将軍に据えるつもりだったのかな。時間的なつながりとして、自分が抜ける代わりに十兵衛をあてがっておこうとしたとしか思えない。戦国の世だし、そういう設定に異論はないが、もう「盟友」ではないな。
  • 将軍の価値は人が決める、価値がなければ切り捨てる、というようなことを松永様は言いました。が、公方様の描写って、初登場からここまで憂い・投げやり・無力感ばかりで、暗殺するより利用したほうが得なんじゃないかという感じがしてた。さすがに織田家に費やしたのと同じボリュームで、とは言わないが、幕府にも時間を割いて欲しかった。義輝が何をして、何を失敗したのかを映像で見たかったな。予告に鞘から太刀を抜くカットがあったので、最期は期待しております。
  • どこで藤孝が見限ったのかも見せて欲しいけど、これは次回以降でも可能でしょうか。
  • 十兵衛がお家に帰り着いた場面のBGMが突然アカペラになった!? と思ったら母上が幼い孫に歌って聞かせてたのですね。お声の艶といい伸びといい、さすが別次元です。

麒麟がくる【感想】第22回 京よりの使者

やっと放送再開ですね。子持ちになったというのに、いまだモラトリアム十兵衛の行く末を見守りたいと思います。

  • たまちゃん、未来のお義父上に抱っこされる。
  • 近衛前久、もっと毒のあるキャラだとばかり思っていた。が、多面的で毒気もありながら、いい感じで落ちついたところも可愛げもあった。良かった。信長とか道三とか、外連味があって最初は引き付けられたけど、最近はちょっと胃もたれを感じていたので。型破りな人物とはいえお公家さんなのだから、外で感情をあらわにするなんてことはしないか。
  • 三好長慶はえらくあっさりと退場。
  • 覚慶(義昭)も放送前のビジュアルを見て裏があるイメージを持っていたのだけど、生き仏というのを額面通りに受け取ってもいいのかな。ここまででは、最も麒麟に近そうな人。
  • 公方様に「信長を連れてくる」なんて安請け合いして大丈夫なのか? 十兵衛よ。桶狭間のあと、文通くらいはしてたんでしょうか。あの疲れた公方様を見てしまったら、何か力になることを言ってあげたくなる気持ちはわからないでもないけど。でも以前、信長は公方様について「使えねーヤツ」と思ってたような……。

 

麒麟がくる【感想】第21回 決戦! 桶狭間

どこまでも褒められたい子供、な信長か……。で、帰蝶はいっぱい褒めてくれる母上だったのか。いや、いくらかは母親の役割を無意識のうちに求めてるんだろうな、とは思ってたよ。だが、ああ当人の口からはっきり言われてしまうと、なんか胸が痛いよ。奥さんにほんの少し母性を求めるとかじゃなく、100%母親なんだね。
あのラスト一つ前の信長と十兵衛の対面シーンで、戦の勝ち負けなんかどうでもよくなってしまうくらいのダメージ喰らいました。もう場合によっては即離婚案件だわ。(だが、離縁しても帰蝶には帰る家がない。)
同じ頃、帰蝶清洲城で、知らない間に信長が側室に産ませていた赤子・奇妙丸を育てよう、と腹をくくってるんだよね。あの状況では拒否どころか、ほんの少しの恨みごと吐いて憂さ晴らしすることさえ許されない。まあ、帰蝶=母親の感覚でいるなら、信長があのタイミングで白状するのもわかります。
でも帰蝶は赤子のみならず、夫だったはずの男の母親の役割をあてがわれて、その役割を納得できるのかどうか。今までのように夫婦仲良く二人三脚で突き進めるんだろうか。
ラストあたりの信長や十兵衛のシーンは目の前が開けていくような明るい雰囲気に包まれていたけど、個人的には今は不穏なものが拭えません。

  • 以前、父上が褒めてくれなかったのは、状況読まずに殺し、空気も読めずに生首献上したからなんだけど、未だに理解できないままなのか。先々を考えると絶望しか見えない。で、今回は今川を討ったことを褒めてくれた十兵衛に父性を見ていたりするんだろうか、信長は。
  • 後継と家のことを託すくらいなので、信長は帰蝶に絶対的信頼があるのはわかる。婚姻関係を続ける政治的意味がなくなっても、ほんとに大事な人なのだ。帰蝶は後継たる子が隠し子であっても、正室なのだし当然その役割は引き受けるべきだとも思う。だが、彼女のことを母親って言われちゃうとなぁ。戦友とか片腕とかの方がまだマシな気がする。
  • 今川義元三河守に任じられたと聞かされた時に、スイッチの切り替わる元康が印象的でした。まだ10代であっても一国を背負ってるんだよね。道三や信長のいう国は陣取り合戦の感覚が拭えないけど、元康の国は家臣や領民の存在が感じられる。母上の、ある意味泣き落とし的な手紙では動けなくても、情勢の変化には心が動く。立場がなければ、もちろん母上の手紙に従ったでしょうけど。わたし的に大河史上最高の徳川様かも。
  • 信長と元康の関係が後半、どうなっていくのか、すごい気になります。
  • 信長が美濃を奪ったら、本当に帰蝶は喜ぶんだろうか。

どうなるのか気になることだらけで、続きはお預けです。どのくらい待ったいいのでしょうか。秋には見られるかなぁ。いくらでも待つので、端折られたりすることない、全部を見たい!

麒麟がくる【感想】第20回 家康への文

時代が変わろうとしているのに、前回から明智家の当主はなんにもしてなかったんか。赤ちゃんは生後数ヶ月という感じなので、1年くらいはたってると思われます。京で義龍から「どうしたいのか」と問われたのにな。

  • 妻子と母上と従兄弟に使用人もいるのに、ほんとに手習いの師匠しかやってなかったんかい、十兵衛よ。奥さんに「お金ありません」と言われてやっと就職活動開始。この人が当主で大丈夫かといささか心配になる。で、面接が予定通りに運ばないからって、蹴鞠をバカにするのはよくないと思うの。
  • 駒ちゃんが少し大人びて、しっかり働く女性となっています。元康は駒が気になるふうですが、ドラマの中ではだいぶ年上ですよね。中の人は駒の方が年下だったかと思うので、ちょっと混乱してます。駒ちゃんの見た目年齢に惑わされてはいけない。(前にも公方さまや藤孝の見た目年齢で混乱しました。)元康は本当に若殿に見えるからすごいです。
  • ここまでの人生でひどく辛い経験を重ねている元康が、一番闇が薄いんだな。もちろん暗い目をしているときもあるんだけど、駒からお守りになるかもといわれている丸薬を受け取るときの嬉しい感情を素直に出せるところなんかが、真っ当に育った若殿だなと思う。やっぱり織田家から今川家に移ったのは、子供の成長にとっては良かったのね。あのまま織田にいたら、帰蝶&信長夫婦の毒気にあてられて、麒麟を連れてくるような者にはなれなかったかも。
  • 故郷を追放された十兵衛が気にかけるのは故郷・美濃じゃなくて、帰蝶と信長なのか。その帰蝶はもうほとんど織田家の軍師です。
  • 今川義元がなんか悪人風になってる。竹千代を人質にした回では覇者の余裕を感じたのですが。
  • 信長が普遍的な存在としての「母上」に抱く感情。まだ昔のように素直に求める心を残しているのか、母の愛は無条件ではないと諦観しているのか。熱田で於大の方と対面した時、どう思っているのか判断がつかなかった。「20年会わなくても名を聞けば刺さる」っていうセリフ、本気で思っているようにも、三河や松平を利用するために綺麗ごとを吐いてるようにも聞こえた。話してる間に感情が高ぶって、願望や憧れがあふれてきたのかな。
  • しかし竹千代の父である松平広忠を暗殺したのは信長だということを、水野家は承知しているんだろうか。
  • んで、そんなに遠くはない未来には、信長が直接か間接かはわからないけど、元康の嫡男を自刃に追い込むわけですが、その時の反応も気になります。

この様子だと瀬名や氏真は出てきそうにないな。ちょっと残念。